【局所麻酔薬について】成分の違いと使い分けまとめ

その他

今回は局所麻酔薬についてまとめました!

患者Qさん
患者Qさん

特に治療時に聞かれたことないんですが

麻酔薬にも種類があるんですね

・普段はオーラ注
・高血圧の患者はシタネスト
・何か事情のある特別な患者はスキャンドネスト

現状、こんな感じで使い分けしていると思うのですが、実際はどのように使い分けるべきかまとめました!

現在歯科で使用されている主な局所麻酔薬は、使用頻度順に、キシロカイン、オーラ注、シタネスト、スキャンドネストだそうです。

局所麻酔薬の有効成分について

まず、はじめに局所麻酔薬の有効成分には「麻酔薬」と「血管収縮薬」があり、その2つの配合によって4種類の製品を区別することができます。

血管収縮薬の役割

局所麻酔薬は血管拡張作用をもつため、単独で使用すると作用持続時間の短縮、局所での薬物吸収による副作用などをきたします。そこで、血管収縮薬を添加することにより、麻酔薬による中毒の防止、麻酔使用量の減少、持続時間の延長、作用の増強、出血を抑えることができます。

主な局所麻酔薬の種類

キシロカイン

麻酔薬は塩酸リドカイン
血管収縮薬はアドレナリン(エピネフリン)

オーラ注

キシロカインと同じく麻酔薬は塩酸リドカインで
血管収縮薬はアドレナリン(エピネフリン)です。

血管収縮薬は血管を収縮させることで麻酔薬が患部以外へ流れにくくなり作用時間が長く、効き目も強くなります。また、出血を抑えやすくなるので大きなメリットがあります。アドレナリンは血圧を上昇させる効果がありますので

キシロカイン、オーラ注ともに極端な高血圧の方や甲状腺機能亢進症、高血糖を招く危険性があるため糖尿病の患者さんには原則禁忌となっています。

シタネストオクタプレシン(以下:シタネスト)

麻酔薬は塩酸プリロカイン
血管収縮薬はフェリプレシン

血管収縮薬のフェリプレシンはエピネフリンより血圧上昇が起こりにくいので、心臓への負担が軽度で高血圧の方や心不全の方に用いることが多くなります。他の麻酔で気分不良が出た方にも用います。

また、フェリプレシンは、軽度の子宮収縮作用と分娩促進作用があるため、妊娠8ヶ月以降の後期には使用を避けたほうがよいとされています。

ちなみに妊娠中は4か月までは胎児の奇形の心配がある時期ですので、全ての局所麻酔の使用は慎重に行う必要があります。

スキャンドネスト

麻酔薬はメピバカイン塩酸塩
血管収縮薬はなし

血管収縮薬が入っていないため麻酔効果が早く消失するので、短時間で終わる治療に向いています。

高血圧やアレルギーを同時にお持ちの方や、お子さんの治療には重宝します。

有効成分
麻酔薬血管収縮薬製品名
塩酸リドカインアドレナリンキシロカイン
塩酸リドカインアドレナリンオーラ注
塩酸プリロカインフェリプレシンシタネスト
メピバカイン塩酸塩なしスキャンドネスト

キシロカインとオーラ注の違い

キシロカインとオーラ注の違いはアドレナリン(エピネフリン)の濃度と防腐剤の有無


◇アドレナリンの濃度の違い
キシロカインとオーラ注では血管収縮薬のアドレナリンの濃度が違います。
オーラ注の方がアドレナリンの濃度が濃いです。
そのため、出血を確実に止めたい場合はオーラ注を使用する先生もいるそうです。

◇防腐剤の有無

オーラ注には防腐剤のメチルパラベンは含まれていません。防腐剤に対してアレルギーのある方にも使いやすいです。

製品名分量アドレナリン濃度用途
キシロカイン1.8ml1/80,000一般
オーラ注1.0ml1/73,000小児など少量で済む
ケース

使い分け

キシロカインとオーラ注、シタネスト、スキャンドネストの使い分け

キシロカインとオーラ注、シタネスト、スキャンドネストの違いは、アドレナリンの有無です。アドレナリンを使用できない患者さん(動悸がして困る人、血圧が上がって困る人)には、シタネストやスキャンドネストを使用します。

製品名用途
キシロカイン、オーラ注アドレナリンを投与しても問題ないケース
シタネスト、スキャンドネスト動悸や血圧の上昇が禁忌なケース

スキャンドネストを使用する場合

スキャンドネストと他3製品との違いは、血管収縮薬と添加物の有無です。

スキャンドネストには血管収縮薬と添加物が入っていません。
血管収縮薬が入っていないためため、血圧を上げたり、心拍数を上げて動悸を引き起こしたりする作用はありません。

これにより、シタネスト同様に既往症がある方に使用することができます。

また、スキャンドネストには防腐剤が入っていません。通常、局所麻酔薬にはメチルパラベンという防腐剤が入っています。これは、局所麻酔薬のカートリッジを長く保存するためです。

しかし、このメチルパラベンはアナフィラキシー発生の原因とされることが多いです。

局所麻酔によるアレルギーは麻酔薬と血管収縮薬以外の防腐剤のメチルパラベンや酸化防止剤のピロ亜硫酸ナトリウムによって比較的起こりやすいです。スキャンドネストには酸化防止剤も含まれていません。

アレルギー体質の方にはメチルパラベンを避け、スキャンドネストを選択することもあります。(オーラ注にもメチルパラベンは入っていません)

製品名血管収縮薬の有無防腐剤(メチルパラベン)
キシロカイン
オーラ注×
シタネスト
スキャンドネスト××

スキャンドネストとシタネストの使い分け

スキャンドネストとシタネストの使い分けは麻酔薬の効き始めの時間と持続時間です。


血管収縮薬には組織移行を阻害する、麻酔薬の量を減らす、組織に留まって長時間効かせるという効果があります。


しかし、スキャンドネストには血管収縮薬が入っていないので、作用時間が短いです。


シタネストには血管収縮薬が入っているので、スキャンドネストと比較すると、効き始めがやや早く持続時間もやや長いということになります。

製品名効き始め時間持続時間
シタネストスキャンドネストと比較
すると、やや早い
やや短い
スキャンドネストシタネストと比較すると、
やや遅い
血管収縮薬が入っていない
ため、短い

まとめ

キシロカイン 
一般的に使用。防腐剤が含まれている。アレルギーや高血圧の方には使いにくい。

オーラ注
キシロカインと同等の効果だが、防腐剤が含まれていないので、アレルギーの方にも使いやすい。

シタネスト
エピネフリンが入っていないので効果時間は短く・効くまでの時間も長くかかるが、高血圧の方に使いやすい。防腐剤は入っている。

スキャンドネスト
血管収縮薬、防腐剤は入っていないので効果時間は極端に短く効果も弱いが、あらゆるリスクのある方に使いやすい。

今回は、主な歯科用局所麻酔薬の種類とそれぞれの違いについてまとめました!

オーラ注はよく使用していますが、高血圧の方はもちろん、糖尿病やバセドウ病の方は原則禁忌ですので、使用時には現病歴の確認が必須です。

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