最新!子どもの虫歯予防に効果的なフッ素濃度について

むし歯

いつのまにか基準が変わってる!

・0歳から6歳の推奨フッ素濃度が500ppm→1,000ppmに変更!

・6歳以上はフッ素濃度1,500ppmを推奨!(今までは15歳以上だった)

チェック不足でした
今まで知りませんでした…

今年の初めに日本口腔衛生学会と日本小児歯科学会、日本歯科保存学会、日本老年歯科医学会は4学会合同のフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」を発表していたようです。

フッ化物応用に関する研究のアップデートや、市販歯磨剤におけるフッ化物濃度の変更、今まで推奨されていた利用方法が変更されたそうです。

使用量や使用方法の変更点

患者Qさん
患者Qさん

今までと何が変わったの?

厚生労働省は2017年にフッ化物配合歯磨剤に含まれるフッ素濃度の上限値を1,000ppmから1,500ppmに引き上げました。そこから、今回変更された点は

① 0〜5歳までに推奨されるフッ素濃度が、500ppm(泡状歯磨剤であれば1,000ppm)から1,000ppmに変更

② 6〜14歳の枠が廃止され、6歳以上であれば1,500ppmのフッ素濃度を推奨

大人の上限値は1,500ppmと変わってないですが、6歳以上で大人と同量
0歳で1,000ppmも使用していいんですね〜!

年齢別フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法

どの年代もプロフェッショナルケア+ホームケアでう蝕予防効果は高くなります。
フッ素はこちらの適正な使用量を守れば、安全です。
しかし、フッ素の使用について心配されている方も少なくありません。

小児に推奨するフッ化物濃度と注意点

歯磨剤のフッ化物濃度は高いほどう蝕予防効果が高いと考えられるが、誤飲によるリスクを考え、年齢別の推奨を行っています。

歯の形成期である乳幼児・小児に対しては、フッ素の急性中毒と歯のフッ素症のリスクについて知っておけば、問題なく使用していただけるかと思います。

フッ素の急性中毒

一度に多量のフッ化物を摂取したときに生じるもので、吐き気、嘔吐、腹部不快感などの症状を示します。


フッ化物の急性中毒量は、体重1kgあたりフッ化物の量2mgです。
例えば、体重20kgの子供が40mgのフッ化物を摂取することで生じます。

推定中毒量は、5歳児(体重18Kg)が週5回法のフッ化物洗口液(0.05%フッ化ナトリウム溶液)を40人分一度に飲んだ場合に到達します。また、3歳児(体重12Kg)ではフッ化物歯面塗布製剤(2%フッ化ナトリウム溶液・ゲル)1回分の上限量2ml(gr)の4人分を一度に摂取した場合に推定中毒量に達します。いずれも事故性または意図的に一時的に中毒量を摂取した場合になります。

厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトより

ちょっとわかりにくい表記ですよね…
要するに

通常むし歯予防に利用するフッ化物(フッ化物洗口、フッ化物塗布、フッ化物入り歯磨剤)では、適量を使用している限り中毒を起こすことはありません。

普段のセルフケア用品の使用量では中毒を起こすことはありません。
歯科医院で行う歯面塗布時のフッ素濃度9,000ppmでも、薬剤1mL中には9mgのフッ素が含まれていますが、1回の塗布に使われる薬剤量は2mL以下(幼児では1mL)ですので、全量を飲み込んでしまっても急性中毒の危険性はありません。また、通常の塗布で口腔内に残留する薬剤量は15~20%程度と考えられており、十分に安全な量です。 

歯科医院、ホームケアともに通常の使用量では急性中毒の問題はありません。


大人用の歯磨き剤をチューブまるごと1本を誤って食べてしまったりすると、急性中毒を起こす場合もあるので、対応法も知っておくと安心ですね。
軽症であれば、牛乳を飲ませて様子見で大丈夫です。
心配なら病院に連れて行きましょう。

フッ素の急性中毒量
(体重1kg当たり)
症  状対  応
2mg/kg以上軽い胃腸症状
(吐き気・腹痛・下痢)
・カルシウムを与える。 
 牛乳やアイスクリームを与えて数時間様子を見る。
・嘔吐させる必要はない。
5mg/kg以上胃腸症状
(吐き気・腹痛・下痢)治療・入院処置が必要
・病院に連れて行き, 2~3時間観察する。 
・催吐剤で嘔吐を誘導し, 胃を空にする。 
・経口的に可溶性カルシウムを投与
(牛乳, 5%グルコン酸カルシウムや乳酸カルシウムなど)
15mg/kg以上胃腸症状
(吐き気・腹痛・下痢)
・緊急に入院させる

身体に良いとされているものでも、摂りすぎると毒になります。
それと同じで、フッ素も適量を使用し、むし歯予防に活用して下さい!

歯のフッ素症

エナメル質の形成時期(出生~8歳まで)に、過剰量(1~2ppm以上)のフッ化物を長期間摂取した場合にエナメル質の減形成や石灰化不全を生じる症状のこと。

エナメル質に審美上の変化(不透明な縞模様・境界不明瞭の白斑・白濁など)があらわれ、中等度になると歯面全体にわたってチョーク様に白濁します。

斑状歯とも言い、フッ化物に由来する慢性中毒の1つである。
歯面は白濁程度から褐色調の着色を伴うものまであるり、健全歯面との境界は不鮮明な縞模様を呈する。
歯のフッ素症と判定する基準としてあげられるのは、通常、両側性、左右対称性で、歯を横断する水平的な縞模様を示す傾向があることです。
また、小臼歯および第2大臼歯が最も影響を受けやすく、続いて上顎の切歯であり、下顎の前歯が最も影響が少ないことなどです。

8歳までの間に高濃度のフッ化物を含む飲料水を継続的に飲用すると、発症することがあります。水道水にフッ素が添加されていたりすると、発症の恐れはありますが、現在、日本では水道水にフッ化物は添加されていません。

ちなみに骨のフッ素症もあるそうで、10~20ppmのフッ化物を含む飲料水を少なくとも10年以上毎日摂取している場合に生ずるそうです。

インドなどの熱帯地方や中国の乾燥地帯でフッ化物濃度が高い飲料水を利用している地域での報告が多い症状です。

いずれも慢性的にフッ化物を飲用すると起こるものなので、適正な量を使用する分には問題ありません。

今後のフッ化物配合製品について

むし歯予防に効果があるフッ素。
使用について心配されている方もいらっしゃいますが、適切に使用すれば問題ありません。
ただ、急性中毒については保護者の管理は必要です。

また、乳幼児向け歯磨剤については、チューブ1本分の量を飲み込んでも問題ないとされていますが、乳幼児が誤って誤飲しないよう、使用方法や保管場所に注意すると述べられています。

加えて、日本で販売されている1,450ppmフッ化物配合歯磨剤は、味などの点において小児向けの製品が少なく、今後は、小児に対しても1,450ppmフッ化物配合歯磨剤の需要が大きくなると考えれられるため、小児向け製品の販売が望まれています。

小児向けの味の高濃度の製品が販売されたら、一層、誤飲には気をつけないといけませんね。

さらに、歯磨剤の国際規格(ISO 11609)では、容器にフッ化物の種類と濃度を表示することが義務づけられているが、現在日本で市販されている多くの歯磨剤には、配合されているフッ化物濃度が記載されていません。

「高濃度フッ化物配合」と記載されているものもありますが、小児用が販売されるとなれば、しっかりと濃度について記載し、安全に使用していただき、虫歯予防も促進されると良いなと思います。

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